VTuber心理・推し活心理

推しに嫉妬してしまうのはなぜ?他のリスナーが気になる心理と気持ちの整理法

ふしまる

推しの配信を見ていて、他のリスナーのコメントが読まれた瞬間にモヤモヤした。自分より長く応援しているファンや、推しに認知されている人を見ると苦しくなる。そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。

推しに対する嫉妬は、単純に「性格が悪いから起こる感情」ではありません。推しとの心理的な距離が近く感じられるほど、他のファンとの比較や「自分も特別でありたい」という気持ちが生まれやすくなります。

アイドルファンを対象とした研究では、推しへの心理的一体感は同担への仲間意識と、心理的責任感は競争意識と関連していました。研究の対象と限界は、本文で出典とともに紹介します。

この記事では、推しやVTuberに嫉妬してしまう理由と、他のリスナーが気になって苦しくなったときの考え方について解説します。特に、配信中のコメント読み・名前呼び・他の配信者とのコラボで感じる嫉妬を中心に扱います。

推しに嫉妬してしまうのはおかしい?

推しに嫉妬する感情そのものは、それほど不思議なものではありません。

好きな相手を大切に感じるほど、「もっと自分を見てほしい」「自分も特別な存在でありたい」と思うことがあります。恋愛に限らず、推し活でも似たような感情が起こることがあります。

VTuberや配信者のコメントへの反応や名前呼び、SNSでの交流を通じて、心理的な親しさを感じる人もいるでしょう。実際のやり取りがあっても、個人的な交際や特別な関係を約束するものではありません。

メディア上の人物への親しさを考える手がかりに、「パラソーシャル関係」や、視聴中に相手とやり取りしているように感じる「パラソーシャル相互作用」があります。Wulfら(2021)のTwitch配信を用いた251人の実験では、個別の呼びかけやチャットへの反応が、パラソーシャル相互作用の体験に影響しました。ただし、VTuberへの嫉妬の原因を直接調べた研究ではありません。

問題になるのは、嫉妬という感情そのものではなく、その感情によって推し活が苦しくなったり、他のファンを攻撃したり、自分の生活が大きく乱れたりする場合です。

なぜ他のリスナーに嫉妬してしまうのか

推しを「自分にとって特別な存在」と感じている

推し活を続けていると、時間、お金、感情など、多くのものを推しに使うようになります。

毎日配信を見る、グッズを買う、ライブへ行く、SNSをチェックする。こうした積み重ねによって、「自分はこの人をずっと応援してきた」という感覚が強くなります。

心理学やマーケティング研究では、対象を実際に所有していなくても「自分のもののように感じる」状態を心理的所有感と呼びます。

井上・上田(2023)によるアイドルファン550人のデータを分析した研究では、推しとの心理的一体感は同担への仲間意識と、心理的責任感は競争意識と関連していました。この結果だけで、VTuberへの嫉妬の原因や、すべてのリスナーの気持ちを説明することはできません。

こうした研究をそのまま自分に当てはめず、「自分の方が昔から応援している」「自分の方が推しのことを理解している」「自分の方がたくさん支えている」と比べていないか、振り返るきっかけにしてみてください。

「自分も認知されたい」という気持ちがある

VTuberや配信者の場合、コメントを読んでもらったり、名前を覚えてもらったりすることがあります。

すると、最初は単純に配信を見るだけだったのに、「名前を呼ばれたい」「コメントを読んでほしい」「覚えていてほしい」という気持ちが強くなることがあります。

そこで別のリスナーが頻繁に名前を呼ばれていると、「なんであの人ばかり」「自分のコメントは読まれない」という比較が始まります。

嫉妬の裏側には、他人を嫌う気持ちだけではなく、「自分も大切にされたい」という欲求が隠れていることがあります。

他のファンと自分を比較してしまう

SNSは特に比較が起こりやすい場所です。

「グッズをこんなに持っている」「スパチャをたくさん送った」「イベントで推しに認知された」といった投稿を見ると、自分の推し活と比べてしまうことがあります。

SNSの認知報告や、グッズ量・イベント参加数を比べて苦しくなる場面は、推し活で他のファンが気になる心理と対処法で詳しく整理しています。

しかし、推し活には本来明確な順位はありません。お金を多く使った人が一番好きとは限りませんし、長く応援している人が偉いわけでもありません。

それでも数字として見えるため、無意識に競争になりやすいのです。

VTuberで嫉妬が起こりやすい場面

VTuberや配信者の場合、特に嫉妬が起こりやすい場面があります。

代表的なのは、他のリスナーのコメントが何度も読まれる、特定のリスナーが認知されている、推しが別の配信者と親しそうにコラボする、SNSで他のファンに反応するといった場面です。

こうした出来事は、普段感じている「推しとの心理的な近さ」と現実の距離との差を意識させます。その結果、「自分は特別ではない」という事実を突然突きつけられたように感じ、嫉妬や寂しさにつながることがあります。

嫉妬が苦しくなってしまう理由

嫉妬が強くなると、推しを見ること自体が苦しくなる場合があります。

本来は楽しかった配信なのに、「今日は誰のコメントを読むのだろう」「またあの人がいる」「誰とコラボするのだろう」ということばかりが気になる状態です。

この状態になると、推しを見る目的が「楽しむこと」から「自分の立場を確認すること」に変わってしまいます。

さらに、SNSで相手のファンを何度も確認したり、認知されている人の投稿を繰り返し見たりすると、嫉妬を感じる情報を自分から探し続けることになり、悪循環につながります。

推しに嫉妬したときにやってはいけないこと

嫉妬を感じても、そのまま行動に移す必要はありません。

特に避けたいのは、他のファンへの攻撃、SNSでの晒し、推しへの過剰な要求です。

「自分のコメントも読んで」「あの人ばかり反応するのはおかしい」と推しへ要求し始めると、推し活そのものが承認を得るための活動になってしまいます。

また、嫉妬した自分を強く責める必要もありません。感情は完全には選べません。大事なのは、「嫉妬したこと」と「嫉妬を理由に何をするか」は別と考えることです。

推しへの嫉妬を少し楽にする方法

嫉妬していることを認める

まず、「自分は今、嫉妬している」と認めます。

「こんなことで嫉妬するなんて恥ずかしい」と否定すると、かえってその感情ばかり気になる場合があります。「自分も推しに大切にされたいから嫉妬しているんだな」くらいに考えてみてください。

他のファンを見る時間を減らす

嫉妬の対象になっているファンのSNSを何度も見るのであれば、一度距離を置くのも方法です。ミュート機能などを使い、「推しを見る時間より他のファンを見る時間の方が長い」という状態を避けます。

「認知されること」を推し活の目的にしない

認知されることは嬉しいものです。ただし、「認知されなければ意味がない」という状態になると苦しくなります。

推しから反応をもらうことではなく、「配信を見るのが楽しい」「作品が好き」「声を聞くと元気になる」など、自分が推している最初の理由を思い出してみてください。

推し以外の楽しみも持つ

推しが生活の100%に近くなるほど、推しの行動一つで気持ちが大きく動くようになります。

ゲーム、漫画、友人、運動、別の趣味など、推し以外にも楽しめるものがあると心理的な負担が分散します。推しへの気持ちを弱くする必要はありません。「推し以外にも自分を楽しくしてくれるものを増やす」という考え方です。

推しとのちょうどいい距離感とは

推し活には、「これが正しい距離」という答えはありません。

毎日配信を見る人もいれば、時々見る人もいます。グッズを集める人もいれば、無料配信だけを楽しむ人もいます。

重要なのは、その推し方によって自分が楽しくなっているかです。

推し活の楽しさを大切にしながら、睡眠や支出、仕事や学業への影響も確かめてみましょう。「他のファンが気になって一日中SNSを見る」「推しのことで仕事や生活に集中できない」「配信を見るたびに苦しくなる」という状態なら、一度距離を調整することも必要です。

まとめ|嫉妬は「推しを大切に思っている気持ち」の裏側にあることもある

推しに嫉妬してしまうと、「自分はおかしいのでは」と感じるかもしれません。

しかし、その感情の裏側には、「もっと近く感じたい」「自分も大切な存在だと思われたい」「自分の推しを大切にしたい」という気持ちが隠れていることがあります。

嫉妬そのものを無理に消そうとするより、なぜ嫉妬したのかを理解し、その感情と行動を切り分けることが大切です。

推し活は本来、誰かと競争するためではなく、自分の毎日を楽しくするためのものです。

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